2010年04月19日

リラの咲く頃に

♪ライラックって どんな花だろう
たぶん赤くて 5センチくらいの
冬に咲く花…

と歌ったのは
BJCの
ベンジーさんでした。

でも「正解」は、
白や薄紫の、
春に咲く小さな可愛い花です。

下鴨幼稚園では
すべり台の南側にあって
今年も真っ白な花を
たくさん咲かせ
芳しい香りで
私たちを楽しませてくれています。

ライラック。
フランス語ではリラといって

リラの咲く頃

というと
フランスでは
とても良い季節のことを
指すそうです。

その木の横で
新入園児のSくん
ひとりポツンと立っていました。

年度のはじめは
在園児さんでも
ある程度そうですが
一日のはじめはとくに
遊びあぐねてしまいがちです。

新入園児さんなら
なおさらですね。

なにしてあそぼう、
と近づいても
お返事がありません。

そこで
このお花いい香りがするよ
と、さそってみました。
すると彼も
園長先生のまねをして
咲いているライラックの花に
鼻を近づけました。

そして、
「いい香りするでしょ?」
と話しかけると
「ウン」と彼。

ここから何かが始まるかな

と思ったのですが

やっぱりすぐに
浮かない顔にもどってしまいました。

あんまり「迫って」も いけないので
少し彼から離れることにしました。

しばらくすると
こんどは何か言いたげです。

また近づいて
「どうしたん?」
と聞くと

ボソッと

「すべり台ぬれてる…」。

そうか
前日の雨で
すべり台が濡れてて
すべることができなかったんだ

そこで
「タオルで拭いたら乗れるよ」
と言うと、

Sくんの曇った顔が
パッと明るい笑顔になったのです!

そう変わるさまは、
真っ暗な部屋にパッと電気がついたような
夏の夜空に開く大輪の花火のような…

その瞬間を
世界中のひとたちに、
映像で見せたい!
と思うほどでした。

さて それから
すぐにタオルを取りに行き、
Sくんのところに
戻ってきました。

ところで
すべり台を拭いてくれる
お友だちには「特典」があります。
すべる部分にタオルを敷いて
その上に乗って
滑ることができるのです。

Sくんにそれを伝えると
とても よろこんで
タオルの“ソリ”に乗って
すべってくれました。

在園児さんなら
慣れていて
すべり台が濡れていたら
すぐに言ってくれるのですが

そうそう
Sくんは新入園児さんでした。
これでおぼえてくれて
次からこういうときは

タオルください
と言えるよね

なんども なんども
とても嬉しそうに
すべり台をすべる彼を見ながら

そんなことを考えていました。

リラの咲く頃に―

とびっきりの笑顔に
出会えました。
それはパッと開いた一輪の花

ところで
ライラックの花は
今では
ほんの少ししぼみはじめ
香りも弱まってきました。

季節は花の頃から
新緑へと

確実に向かっています。




posted by 園長先生 at 16:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年04月08日

さいた さいた

今日は入園・始園式。
よろこびのうちに
無事に式を終えることができ
感謝です。

春休み中に
数週間会ってなかっただけなのに
少し大きくなった子どもたちの姿をみて
やはり
子どもたちの成長というのは
不思議と
驚きと
感動をともなっている
と思ったことでした。

新しいおともだちを迎える
新青組さんの「ことば」も
元気にできましたね。

その「ことば」のなかにもでてきましたが
今まさに園庭ではチューリップが
賀茂川の桜と同様 
満開を迎えています。

そして式をしめくくるお歌も
毎年のことですが
チューリップの歌です。

♪さいた さいた
 チューリップの花が
 ならんだ ならんだ
 あか しろ きいろ
 どの花 みても きれいだな

この歌を聞くと
15年ほど前に聞いた
神学校時代の
恩師の話を思い出します。

彼は若い頃にアメリカに留学しているのですが
30年ぶりに行ったアメリカで参加した
あるワーク・ショップでのことです。

そのワーク・ショップは多民族共生
という課題がテーマでした。
その最終日
お別れのパーティーで
各国からの参加者が
それぞれ自国や自民族の伝統文化で
出し物をすることになりました。

恩師は思案した結果
チューリップの歌をうたうことにしたそうです。

彼は言います。

この歌のなかの
とくに

どの花 みても きれいだな

がいい、と。

つまり
どの民族にも どんな人にも
優劣なんかない。
それぞれ違って それぞれ素晴らしい
というメッセージがそこにある
というのです。

私は
チューリップの歌を
そういうふうに聞いたことがなかったので
驚き
新鮮な風が
心のなかを吹き抜けていくのを
感じました。

みんなちがって みんないい
とは金子みすずさんだったでしょうか。

「世界に一つだけの花」
という歌もありましたね。

こうした歌と通底する
メッセージが
チューリップの歌には
あるのですね。

ご入園・ご進級おめでとう!

48の“チューリップ”たちが
新しい年度のスタートをきりました。

今年はどんな花を咲かせてくれるのでしょうか。

どの花みても きれいだな

どの花みても かわいいな

一つひとつちがう花を
一つひとつ大切に育ててくださる方を
仰ぎながら

一つひとつの
その育みを

今年もまた
精一杯
サポートしていけますように!

posted by 園長先生 at 15:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年04月07日

最初で最後の…

下鴨幼稚園では
毎週金曜の礼拝が終わると
子どもたちは一人ひとり
出口に立っている園長と
握手をして
礼拝堂を出ていくことになっています。

ほとんどの子は
握手をしますが、
もちろん
そうしたくない子もあります。

なかでも、年長さんのAちゃんは
徹底しています。
年度のはじめから毎回必ず
握手をしないことを通してきました。
そこに ある種の「こだわり」も
あるようです。
また、彼女には、コミュニケーション
に関する課題もありました。

そんな一年を過ごして
卒園式が近づいた
最後の礼拝でのことです。

この礼拝のあとも
いつもの通り
園長の前に来ると
少し遠巻きに歩いて
こちらをちらっと見ながら
「○○、握手しないも〜ん」
といって通りすぎようとします。

そうなのです。
実は、まったく
握手をしたくないわけではないのです。
おそらく本当は握手したい。
でも、何らかの理由で
それについて素直になれないのでしょう。
彼女の、あるプライドが
そうさせるのかもしれませんね。

いつもなら無理強いせず
大らかにそれを受けとめるところです。
でも、今日は年長さんにとっては
幼稚園でほんとうに最後の礼拝なのです。

このまま終わっていいのかな
このまま終わりたくないな
という思いが
何週間か前からしていました。

時間にすれば
わずか数秒のことでしたが
思い切って
握手を促すことにしました。

その促しがあまり負担にならないように
気をつけながら…。

「最後くらい握手しようよ」

すると彼女は
一瞬立ち止まって

次の瞬間
おどろくほど素直に
応じてくれたのです。

少しはにかみながら
最初で最後の
握手をしてくれました。

すると急にさびしくなったのか
こんなやりとりになりました。

「園長先生、まだ幼稚園にいる?」

「いるよ」

「月曜日もいる?」

「月曜日もその後も、ずっといるよ」

「じゃあ月曜日遊んでね。約束だよ」

「そうだね約束するよ」

コミュニケーションの課題も
ここではひととき乗り越えられていました。

別れを惜しむということが
この小さいひととの間にも
成立していることに
胸が少し熱くなりました。

でも4月からは小学生。
あまりセンチメンタルになってもいけません。

大きな成長を喜び
この小さな幼稚園から
大きくはばたいてほしいと
願わざるをえません。

そして
新しい生活への
期待とともに不安もまた
ふくらんでいると思います。

でも大丈夫
神さまの大きな手が
あなたを守り
その道行きを導いてくださる―。

そんな思いをこめたのでした。

最初で最後の握手をにぎる手に…。



posted by 園長先生 at 11:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記